この記事ではTOEIC900点ホルダーの筆者の視点から、1冊でスコア600点を達成するための参考書「TOEIC®️L&Rテスト いきなり600点!」(以下、「いきなり600点!」)について、詳細にレビューしていきたいと思います。
この「いきなり600点!」は、いわゆる「1冊で◯◯点とる」というコンセプトの参考書で、 「TOEICを初受験、現在スコアが600点未満の人」が600点を達成するためのスキルを詰め込んだ、と謳っています。
これ1冊を学習しただけで初受験でいきなり600点を達成。果たしてそんなことは可能なのでしょうか。
私の結論から言えば、
大学受験レベルの基礎的な英語力がある人なら可能。そうでなければ無理!
です。
ハッキリ言ってしまえば、たった1冊で「英語力をアップさせる」ことなど不可能です。
なので、この本(というかこうした〇〇点とる系の本)では、TOEICでスコアを取るための「テクニック」のみにフォーカスしています。
ですから、この本では基礎的な英語力は身に付きません。
基礎的な英語力はある前提で、それを活かして最短で600点を取りたいという人のための指南書なのです。
それでは詳しい内容を見ていきましょう。
「TOEIC®️L&Rテスト いきなり600点!」|基本構成
「いきなり600点!」では、TOEICの7つのパートごとに、
- 問題形式と出題・解答の流れ
- Q&A
- パート攻略のツボ
- 演習問題と解説
- 得点力UPトレーニング
という構成になっています。
なおリスニング音声はアルクの公式アプリALCOでダウンロード再生でき、CDをわざわざパソコンに取り込む必要がないので便利です。
それでは順番に詳細を見ていきます。
パート別「問題形式と出題・解答の流れ」
「問題形式と出題・解答の流れ」では、このように、そのパートの問題形式と、「どのように解答していくべきか」ということが簡単に説明されています↓
パート別「Q&A」
次にQ&Aではそれぞれのパートごとに、よく寄せられる質問に対してこのように講義形式で筆者が答えています↓
この本はそもそも「目の前に生徒がいるつもりで、600点に必要なことだけを、絶対に挫折させない方法で教える」というコンセプトの下に書かれていますので、多くの受験者が疑問に思ったり、つまずいたりする部分について、かなり丁寧に解説してくれています。
対話形式になっていますので、臨場感のある説明でスーッと入ってきやすいです。
「パート攻略のツボ」
次の「パート攻略のツボ」では、まさに「いきなり600点!」のキモとなる部分である、問題を解くためのテクニックが各パート別に紹介されています。
例えばPart1(写真描写問題)では、「屋外で働く人」「オフィス」「集う人々」「水辺」など、頻出のシーンと、それぞれのシーンでよく問われる問題傾向について詳しく解説しています↓
Part3・4では、問題を
- 会話の大まかな内容を問う「森問題」
- 会話中の具体的な情報を問う「木問題」
に分け、それぞれの解法を詳しく解説しています↓
またPart5では「TOEIC文法問題(Part5)対策の決定版|「TOEIC L&Rテスト 文法問題でる1000問」」でも紹介した「でる1000問」でも取り扱っていたように、問題形式を
- 品詞問題
- 動詞の形問題
- 代名詞問題
- 前置詞問題
- 接続詞問題
- 語彙問題
の6つに分類し、それぞれの対策法をわかりやすく紹介しています↓
またPart7の長文問題では、問題のタイプを
- 表・リスト・フォーム
- チャット形式
- 取扱説明書・保証書・約款
- メール・手紙・社内文書
- 記事・プレスリリース・求人案内
の5つに分け、それぞれに対する頻出の設問と、それに対する答えの見つけ方のヒントが解説されています↓
↑で紹介しているような、Part7での答えの箇所の見つけ方などは、自分ももっと早くに知りたかったと思いました。
他にもこの「パート攻略のツボ」で紹介されているテクニックは、既に900点を達成している自分が実践してきたものばかりで、目からウロコが落ちるような思いでした。
と言うのも、自分のようなハイスコア経験者が無意識のうちに実践している解法・テクニックを、言語化し、まとめてくれており、この部分こそが「いきなり600点!」のキモとなる部分と言えるでしょう。
パート別「演習問題と解説」
次に各パートごとに演習問題と解説が載っています。
ここでの解説は英語の内容よりも「解き方」にとことんフォーカスしており、徹底的に丁寧に解説してくれています↓
ただし問題数は
- Part1 7問
- Part2 18問
- Part3 30問(10題)
- Part4 24問(8題)
- Part5 22問
- Part6 12問(3題)
- Part7 33問(9題)
と、必要最低限のボリュームのみです。
当然ながら本番対策としては、問題量が少なすぎます。
これはあくまで、テクニックを知った上でそれを実践する練習に必要最低限の量の問題だけ、が掲載されているというわけです。
なお、各パートごとの演習問題は付いていますが、全パートを通して制限時間を設けて解くような本番形式の模試は付属していません。
パート別「得点力UPトレーニング」
そして各パートの最後、演習問題の後には、得点力UPトレーニングとして本番で役立つテクニックを実践するためのミニクイズのような問題が掲載されています。
例えばPart1では、「必要な音だけ聞き取るディクテーショントレーニング」や「曖昧な音聞き分けトレーニング」など↓
Part5では、「語尾で品詞を見分けるトレーニング」などです↓
巻末重要語句リスト
こうしたパートごとにトレーニングの後、巻末にはTOEICに特有の重要語句が約500語まとめられています↓
これも必要最低限の単語のみですが、大学受験レベルの基礎的な英語力がある人がTOEIC600点に対応するためには十分な語句を押さえていますので、残らず暗記しましょう。
英語力ではなく、「テクニック」のみをまとめたた究極の指南書
繰り返しになりますが、この本はいわゆる「英語の参考書」ではありません。
英単語や文法のレクチャーというのはほとんど扱っていません。
扱っているのは「TOEICというテストで少しでも多くスコアをもぎ取るためのテクニック」だけです。
例えばPart2では、「音声の中で聞こえたキーワードやそれに似た音の単語を含む選択肢はほぼ不正解(引っかけ)」など、およそ英語力とは関係のない、TOEICでしか使えないようなテクニックがこれでもかとばかりに紹介されています。
誤解の無いように書いておくと、私はTOEICでテクニックを使う事には肯定的です。
TOEICはあくまで試験だからです。
試験での目的は言うまでもなく「合格すること」です。
TOEICで言えば目標スコアを取ることですね。
TOEICのスコアは世間では「英語力を測る」ためのものと思われがちですが、実際にはTOEICスコアは英語力の指標というよりは、大学での単位認定、就職・転職、会社での人事評価の指標として使われている側面の方が大きいです。
であれば、とにかくテクニックを使ってでも(不正は除く!)ハイスコアを取りに行くというのは、正しい判断だと、私は思います。
そしてこの「いきなり600点!」は、何としても600点を取るための指南書としては、豊富な情報量とわかりやすい解説を収録した、非常に有用な一冊だと言えます。
まとめ|初心者だけでなく、中〜上級者にもオススメ
というわけで、「TOEIC®️L&Rテスト いきなり600点!」を詳細にレビューしてきました。
これ一冊で本当に600点とれるの!?という疑問に対しては冒頭にも書いた通り
大学受験レベルの基礎的な英語力がある人なら可能。そうでなければ無理!
です。
何度も書いている通り、この本は英語力の習得のための本ではありません。
基礎的な英語力は既にある・もしくは別途で習得する前提で、それをTOEICのスコアに繋げるためのテクニックが網羅されているに過ぎないからです。
というわけでこの本がオススメな人・そうでない人は以下の通りとなります↓
大学受験レベルの英語力がある人であれば、この本を繰り返し学習してテクニックを本番で使えるようになれば、初受験で600点を突破することも可能でしょう。
しかし、大学受験レベルの基礎的な英語力が足りていない人は、単語帳や文法書を学習するなりして、まずは基礎固めから始めた方が良いでしょう。
最後に一点。
私はこの本は、TOEIC初受験の人や600点未満の人だけでなく、これまでテクニックに頼らず、英語力だけで真正面から挑んで700〜800点台のスコアを取ってきた、という中〜上級者にもオススメできると思っています。
TOEICのスコアは英語力だけでなく、テクニックにも左右されることは事実です。
先ほども書いた通り、この本では900点オーバーの受験者がふだん(意識的or無意識に)実践しているようなテクニックや解法が言語化され、わかりやすく解説されています。
ですので、既に英語力だけでハイスコアが取れている人は、この本に書かれているようなテクニックを身に付けることで、そこから先、より早くスコアアップできるようになるはずです。
以上、「TOEIC®️L&Rテスト いきなり600点!」の詳細レビューでした!
それでは、この記事が皆さんの参考になれば嬉しいです。
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