
- もう何年もリスニングの練習をしてるのに、イマイチ上達した気がしない
- 聞き取れない原因がわからず、「なぜか聞き取れない」
そんな悩みを抱えているすべての日本人にオススメしたいのが、今回紹介する「英語耳」です。

発音とリスニング上達のための本で、あまりにも有名な参考書ですね。
この英語耳のコンセプトを端的に言うと、
正しい発音が出来るようになれば、リスニングも出来るようになる
というもの。
もう少しわかりやすく言うと、
- 日本人は正しい英語の「音」を知らないから聞き取れない
- 正しい英語の音を学び、自分で使い分けられるようになれば、当然聞き分けられるようにもなる
ということです。
実はこの本の事はずっと気になっていましたが、心のどこかで信じきることができず、これまで手に取らずにきました。

- リスニングに理論もクソもないやろ。
- ひたすらネイティブの英語聞きまくってれば聞き取れるようになるやろ?
と思っていたのです笑
しかし、結論から言うと「英語耳」は本当に素晴らしい本でした。
幼い頃に海外で育ったり、10代のうちに留学を経験したことがない、すべて日本人英語学習者にオススメしたい。
そのくらい素晴らしい参考書です。
この本を読んでみて、「耳からの聞き取りだけでネイティブの発音をコピー出来るのは、英語圏で小さな頃から毎日英語のシャワーを浴び続けて育った人だけ」だということがハッキリとわかりました。
幼い頃から日本のカタカナ英語教育で育った僕のような人間にとっては、正しい発音、リスニングを身につけるには、理論的なアプローチに基づいた地道なトレーニングが必要なのです。
僕はずっとリスニングに苦手意識がありました。
外国人を交えて談笑している時、周りがウケてるのに自分だけ「?」という場面や、
こちらから言いたいことはちゃんと伝えられるのに、返ってきた返事が聞き取れず、とりあえず「…I see.」と返してしまうような場面が多いのです。
この状況はTOEICで900点を取っても、英会話を身につけてもなかなか改善されません。
それが、英語耳トレーニングを1ヶ月ほど続けてみたところ、それ以前と比べると、明らかにネイティブの発音がクリアに聞き取れる感覚がありました。
それはつまり、そのくらい「英語の正しい音」を知らなかったということです。
僕のように、「なぜか聞き取れない」という悩みを感じている人にはぜひ試してみて欲しいと思います。
そんな、自分にとって革命的とも言える英語耳を、詳しくレビューしていきたいと思います。
なぜ聞き取れないのか|日本人が英語を聞き取れない理論的な「理由」
この本ではまず最初に、日本人がなせ英語を聞き取れないのかを理論的に説明しています。
それは次のような感じです。
日本人が英語を聞いた時、聞いた音がいったんカタカナに変換されます。
そしてそのカタカナ語を、知っている単語から当てはまるものを選ぶ、という脳の働きをしています。

このやり方では、聞いた音が最終的に意味に行き着くまでに時間がかかってしまいます。
このため、ネイティブのナチュラルスピードを聞いている時ではすぐに置いていかれてしまい、結果的に聞き取れなくなってしまうのです。
こうなる理由はつまり、日本人が英語の正しい音を知らないために、聞いた音をいったんカタカナに変換していることが原因です。
その改善策として、カタカナではない、英語の「正しい音」を身につける(自分でも言えるようにする)というのが、英語耳のメソッドというわけです。
「知らない音は知っている音に勝手に変換される」の例として、タモリ倶楽部の「空耳アワー」を挙げていますが、これは非常に納得できる話だと思います。
私たちは自分が発音できない音は聞き取れないのです。
なぜなら、その音は自分のストックの中に存在せず、勝手に近い音(多くの場合カタカナ)に変換されてしまうからです。
これが邪魔をして、日本人はなかなか英語が聞き取れるようにならないというわけなんですね。
そこで次の章では、ひたすら反復練習によって正しい発音を身につける「発音バイエル」を推奨しています。
発音バイエル|英語の正しい発声法の反復トレーニング
ここは英語耳のメインと言えるパートです。
英語の
- 子音23個
- 母音19個(と[r])
の、正しい発生方法を、図と説明文を使って詳しく解説しています。
解説はこのように分かりやすい図解つきで、

付属のCDの音声に続けて何度も練習することで、正しい発音を身につけられるようになっています。

この発音バイエルを実際にやってみてわかった事は、「英語の発声方法は日本語の発声方法とは根本的にまったく違う」という事です。
解説通りに発生してみて、僕は、「今までこんな発声したこと無い」という音ばかりでした。
つまり、カタカナ発音は論外としても、ネイティブ英語の「耳コピ」だけではなかなか正しい発音は身につかないという事です。
このように、「正しい発声法」を理論的に学んで初めて、正しい発音が身につくのです。
たとえば、日本人にとって「ア」と聞こえる英語の音は、正確には下記の5つがあります。
[æ] | [e]と[a]の中間の音を、舌を前に運びながら |
[ɑ] | 勢いよく口を開けながら「ア」と言う |
[ʌ] | のどの奥で短く「ア」を切って出す |
[ɚː] | 舌を奥から水平に持ち上げて思い切りうなる |
[ɑɚ] | 口を開けて[a]から閉じながら[ɚ]へ移行する |
これらは全て全く違う音ですが、正しい発音を知らない人にとってはどれも「ア」としか聞こえません。
その違いがわからない人は、当然、これら全ての音を「ア」だと思っているので、「ア」と発音します。
これが日本人の英語が伝わりにくい原因です。
反対に、日本人はこれらの音の違いを聞き分けられないため、聞いたときにダイレクトに特定の単語に行き着かず、ストレスとなって聞き取れなくなってしまうというワケです。
でも、あなたの周りに発音は上手くないけれどリスニング力はあるという人がいるかもしれませんね。
しかしこの本曰く、そうした人たちは先ほどの図↓

↑の回路を高速で行っているだけなので、神経をつかって集中している時しか聞き取ることができないのです。
英語耳のトレーニングの目的は、リラックスしている状態でも、英語が聞き取れるようにすることです。
この発音バイエルを繰り返し練習する事で、英語を聞いたときに、話している人の口の形が頭に浮かぶようになります。
どうやって口を動かしているか分かる(自分も発音できる)から、聞き取れる。
それこそがこの本が目指す「英語耳」の状態なのです。
その他の内容
他にも、日本人がネイティブの英語を聞きとれない大きな要因の一つである「音声変化」についても詳しく対策されています。
音声変化とは、たとえば「Take it easy」が「テイキッリーズィ」のように聞こえる現象のことですが、この本では、英語の音声変化を以下の5パターンにまとめて紹介しています。
- 語尾の子音と語頭の母音がつながる
- 同じ子音が連続するときは2つ目だけ発音する
- 語尾の子音(破裂音)は消える
- あまい母音[ə]は消失ぎみきなる
- [t]は日本語の「ラ行」に近い音になる
この5パターンを頭に入れるだけで、あらゆる音声変化に対応できるようになります。
これも実際に解説通りにやってみると、音声変化は正しい発音をした結果、その方が楽だからそうなるだけ、ということが分かります。
正しい発声法をしてみると、自然と音がつながってその方が楽に発音できるのです。
というより、「そうとしか発音できない」と言った方が良いかもしれません。
これもまた、話している人の口の形が頭に思い浮かぶことで、これまで難解だったネイティブの変化しまくる英語も、思いのままに聞き取れるようになるというわけです。
他にも英語耳では、発音バイエルで身につけたリスニングの仕上げとして、洋楽を一曲まるまるコピーして、英語のリズム感を身につける練習と、洋書の多読によって語彙力・読解力を身につけるトレーニングを推奨しています。
これにより、ネイティブの英語を聴きながら、文の頭から語順通りに理解していく力を養うわけです。
まとめ|語学学習の秘訣は「壮大な慣れ」
以上が英語耳の内容です。
僕はこれまで、「発音・リスニングなんてフィーリングでしょ?」と思ってきました。
しかし英語耳は、フィーリングだけでなく、「理論」や「法則」を先に学んだ方が、効率よく習得できるという事に気づかせてくれました(但し、地道な反復練習は必須ですが)。
繰り返しになりますが、日本で生まれ育った日本人が、ネイティブの英語を耳で聞いただけで完コピするのには限界があるのです。
ネイティブの子どもが発音のトレーニングなどせずとも英語の発音を身につける事ができるのは、毎日絶え間なく英語の音のシャワーを浴び続けているからこそ出来るわけです。
そうした環境にない日本人が正しい英語の発音を身につけようと思ったら、この英語耳のような理論的なアプローチと、その理論を意識しながらの反復練習を積むしかないのです。
この本はそうしたことを、とても理論的に気づかせてくれた、自分にとってはまさに革命的ともいえる良書でした。
みなさんもぜひ、手に取ってみて下さい。きっと、リスニング力に変化が起きるはずです。
それでは。ヒロポン(@E_Teki_2019)でした。
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